今春開校した三部制の定時制高校、市立札幌大通高校(札幌市中央区、生徒三百八人)は、ニート(若年無業者)や元ニート、ホームレスを講師に招いて体験を語ってもらい、生徒に自立について考えさせる催しを九月十八日に行う。文部科学省によると、高校でニートやホームレスに講師になってもらう取り組みは極めて珍しい。
催しは総合的な学習の一環として、同校体育館で行う。生徒が班に分かれ、講師が各班を回って話をする座談会形式をとる。同校のカリキュラムに合わせ午前、午後、夜間の三部で実施し、各部二、三人を呼びたい考えで、つまずきの原因や現在の心境、働くことへの価値観などを話してもらう。講師にはほかに定時制高校の卒業生や経営者、子育て中の母親なども招く。
ニートら講師の人選は、札幌市の児童会館や勤労青少年ホームなどを運営し、ニートの自立支援もしている財団法人札幌市青少年女性活動協会が協力。同協会は五月から週二回、同校に職員を派遣し、生徒の進路相談をしている。ホームレスを支援する市民団体との連携も予定している。
同校進路指導部の平野淳也教諭は「マイナスの体験談も踏まえた上で、生徒たちに将来を考えてほしい」、同協会の松田考・主任指導員は「ニートにとっても、経歴や気持ちを人前で話すことは、自分を見つめ直す貴重な経験になる」と期待している。
総務省の労働力調査によると二〇〇七年、十五-三十四歳のニートは全国に約六十二万人、道内に約三万人いると推測される。
(北海道新聞より引用)