スパイクタイヤが規制された一九九○年代に整備されたロードヒーティングが、相次いで消えている。年間十億円の維持管理費を削減するため、札幌市は二○○二年度からロードヒーティングを順次停止している。これまでは渋滞の恐れが比較的少ない郊外の道道、市道が中心だったが、今冬は幌平橋、一条大橋(中央区)付近の交差点など十七区間を停止。「脱ロードヒーティング」の流れは、いよいよ市中心部に及ぶことになった。
ロードヒーティングはスリップ防止に効果があり、スパイク規制をきっかけに幹線道路の交差点、歩道橋で急増。現在、市内では三百十区間の車道でロードヒーティングが稼働している。
しかし、ロードヒーティングは維持費がひと冬で一平方メートル当たり三千五百円と高額で、寿命は十五-二十年ほど。「脱スパイク」で新設された区間では、多額の改修費がかかる見通しとなり、市は○二年にこう配が6%以下の八十四区間を順次停止することにした。
渋滞、事故を防止するため、市は交通量が比較的少ない区間から着手したが、「スタッドレスタイヤの品質向上などで影響が少なかった」(市雪対策室)ため、今冬は幌平橋、一条大橋など豊平川付近、道道札幌環状線など市中心部の停止に踏み切った。
一方、停止した区間を含めた車道では、普通は一日一回散布している凍結防止剤を四回にするなど、管理体制を強化。それでも、維持費は三割削減できるという。
ドライバーの反応は複雑だ。豊平区の会社員男性(57)は「怖くて車に乗れない。経費削減は仕方がないが」。市雪対策室によると、これまでロードヒーティング停止による苦情はないといい、「こまめに除雪もしている。ロードヒーティングという『点』から、路面管理の向上という『線』を強化した」と説明している。