三分ほどと異例に短い“第一声”だった。道議選が告示された三月三十日の午前九時すぎ、上川管内の自民党現職竹内英順(47)は地元美瑛町で声を張り上げた。「美瑛にはなかなか戻れない。どうか留守を守り、勝たせてください」。足早に選挙カーに乗り、上富良野町に向かった。
上川管内は今回、合区された富良野市から無所属現職で自民党推薦の本間勲(62)が参戦。定数三を有力四候補で争っている。三回連続トップ当選の竹内だが、本間に富良野市周辺の町村を切り崩されるとの危機感は強い。このため、告示直後にこの地域に駆けつけることで「誠意」を示した。
士別市を地盤とする民主党新人の北口雄幸(50)は、道議任期中に衆院議員に転じた佐々木隆博の「後継」を強調、二人三脚で管内を回っている。しかし、農民出身だった佐々木に対して、北口は自治労出身。民主の支持基盤の全上川農連は、富良野沿線ブロック協議会として農民候補の本間の推薦に回った。農連OBらでつくる「かみかわ農政ネットワーク」は北口を推薦しているが、民主党関係者は農連の動きに神経をとがらせる。
士別市は富良野市に次ぐ大票田で、前回合区されたばかり。自民党現職の田渕洋一(56)も士別出身で、市内で圧倒的な強さを誇っていた佐々木がいなくなった今回は、市内で上積みを目指す。しかし、竹内や本間も頻繁に士別入りしており、票の奪い合いは熾烈(しれつ)だ。合区の度に大票田が繰り入れられる中、各陣営は「取られたら、取り返す」(関係者)を合言葉に、陣営幹部の引き抜きなど、仁義なき戦いを繰り広げている
(北海道新聞引用)
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