十四日のバレンタインデーをにらんだ道内百貨店の商戦が例年になく熱を帯びている。昨秋以降の相次ぐ生活必需品の値上げで個人消費が冷え込む中、若い女性らの財布のひもが緩む数少ない大イベントだからだ。各店は有名菓子職人のチョコレートの品ぞろえを充実させるなど、女性客の囲い込みに懸命だ。
丸井今井札幌本店は六日から十四日までの期間、業務提携先の伊勢丹の協力で、フランスのチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」を昨年に続き誘致。十一カ国から六十九ブランドが集まり、期間中十万人の来場を見込む。
五日夜の先行公開には抽選で招待された約二百人が来場。ショコラティエ(チョコ職人)の第一人者、ジャン=ポール・エヴァンさんらのトークショーも行われ、会場は“一流の味”を買い求める女性客でにぎわった。
ライバルの大丸札幌店は、道内在住の洋菓子職人による品ぞろえを強化。三越札幌店は主力のほかハート模様が入ったかまぼこ、幅二十五センチのハート形大型せんべいなどを用意した。
「二月のチョコの売り上げと年間の個人消費には相関関係が認められる」とのリポートを昨年発表し注目された日本総合研究所の山田久・主席研究員は「流行や世の中のムードに敏感な女性の消費行動パターンが象徴的に現れるバレンタイン商戦は、個人購買意欲の先行指標」と指摘する。
道内主要百貨店の昨年の売上高は前年比4・1%減。特に後半は生活必需品の相次ぐ値上げで、得意とする高額商品の消費がめっきり落ち込んだ。こうした中、バレンタイン商戦は他の売り場への波及を狙う絶好のチャンス。丸井今井は「九階特設会場で展開するサロン・デュ・ショコラには下の階への“シャワー効果”があり、婦人服の売り上げが伸びる効果も」とそろばんをはじく。
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