大手百貨店の伊勢丹と東急百貨店の業務提携は、道内百貨店の勢力図に影響を与えそうだ。中高年層の支持を受けるさっぽろ東急百貨店と、伊勢丹の支援で若者向けファッションを強化する丸井今井は、顧客層を補う関係にある。共通のライバルである大丸札幌店を巻き込んだ競争が激化することは確実だ。
急激なシェア拡大から、大丸札幌店の独り勝ちといわれる札幌の百貨店業界。既存店で唯一気を吐いているのが、大丸と同じ札幌駅前にある直営のさっぽろ東急だ。昨年の年間売上高は三百十九億円で、丸井今井、大丸、三越に次ぐ四番手だが、四年ぶりに前年実績を上回った。札幌西武を含めた「五強」で、前年を上回ったのは、大丸と東急だけ。
好調の秘訣(ひけつ)は中高年に照準を合わせた売り場。大丸や隣接する札幌ステラプレイスと差別化するために、大きなサイズの品ぞろえなどを充実させた結果、「五十歳以上の女性の売り上げ構成比がかなりのウエートを占めるようになった」(さっぽろ東急)という。
さっぽろ東急は当初、別会社としてスタートした経緯もあって独立色が強く、郊外のファミリー層や都心の富裕層に注力する首都圏の店舗と一線を画している。
道内には子会社が運営するきたみ東急百貨店もある。
一方、丸井今井はこの春、伊勢丹の支援を受け、札幌本店を大幅に改装した。三-五階の紳士フロアを伊勢丹新宿本店の「メンズ館」を参考にしてリニューアル。ファッションに敏感な若者カップルの来店が目立つようになるなど、顧客の若返りが進んでいる。
東急百貨店は今回の業務提携で伊勢丹の情報システムを導入。丸井今井も数年内に導入する計画だ。
システム統合を機に、商品政策や顧客情報の活用で、三社の連携が進む可能性もありそうだ。
(北海道新聞より引用)
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