地球温暖化対策が主要議題となる来年七月の北海道洞爺湖サミットに向け、国土交通省が海外に発信する四つのプロジェクトを検討していることが二十三日、分かった。北海道では温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出分を吸収するための植樹運動を始める計画。来年度の重要施策に位置づけ、日本が地球環境問題に積極的に取り組む姿勢を世界に示していく。
プロジェクトは《1》植樹など北海道発の事業《2》地球環境の変化を示すデジタル地球地図作製《3》アジア諸国支援のための水不足対策《4》アジアでの交通機関のCO2削減-の四事業。
道内での事業は、同省北海道局が「北海道環境イニシアチブ(率先)」と銘打って植樹運動や廃熱利用などを展開する。
植樹や自然エネルギー発電の促進で、CO2など温室効果ガスの排出分を帳消しにする「カーボンオフセット(炭素の相殺)」という考え方に着目。国内初となる、民間主導による国道や都市公園などへの効果的な植樹プログラムを実行し、全国のモデルとなる道民運動に育てていく考えだ。
道内では冬期間の暖房燃料として灯油を使うケースが多く、道民一人当たりの一年間の温室効果ガス排出量は、全国平均の約一・四倍の約四トン(CO2換算)に達する。このため、工場などの廃熱を家庭の暖房に活用してCO2排出を抑える試験事業も検討している。
地球地図は、国土地理院が世界約百七十カ国・地域からデータ提供を受け、縮尺百万分の一相当のデジタル地図を作製。河川、植生、交通網、人口集中地区など八項目を入力し、洞爺湖サミットまでに完成させてインターネット上で公開する。これらの項目が整備された詳細な地球地図作製は世界初の試みという。五年ごとに更新し、温暖化や砂漠化の進展を比較することで原因究明や対策に役立ててもらう狙い。
アジアの水不足対策では、水害・渇水対策や水の衛生管理法のマニュアルになる「水管理ガイドライン」をまとめる。アジア諸国には自動車や船舶、航空機からのCO2削減技術を提供するとともに、国としての削減制度づくりにも協力する。
(北海道新聞 引用)
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